【Iメッセージ】
こんにちは。緊急事態宣言が解除され、お子さん達もそろそろ学校が始まるころと思いますが今回はそんな子ども達の治療についてです。
一般的に歯科の診療所では、泣く!暴れる!ことの多い子ども達はしばしば手を焼く訪問者と思われがちです。確かに何を言っても通じない、何を言ってるのか分からない、通じたと思えばまた振り出しに戻る...そんな時私達はまるで子ども達が宇宙人のようにさえ見えることもあります。
そんな時常に心がけているのは、治療中に泣いてしまうのは子どもが悪いと考えるのではなく、虫歯が悪いのだ!と考えること。泣いてしまう子ども達が悪いと思って治療しても子ども達を味方にすることはできません。
悪いのは虫歯や虫歯を引き起こした背景と考えるのです。そうすれば不思議と私達も腹も立てずにむしろどうすればこの子の治療へのモチベーションを上げられるだろうかと考えるようになり、それが自然と子ども達との良い関係を結ぶことにつながっていくのです。
人を変えようと思ったらまず自分が変わる必要があるということですよね。しかし実際の臨床の場面では、どうしてもドクターと子ども達との上下関係がつきまとい良好な関係の構築を阻んでいるように思います。
どのようにしてこの上下関係を拭い取ればよいか...私はそのために、【Iメッセージ】で話すように心がけています。【Iメッセージ】とは、自分が思ったこと感じたことを話すことです。
例えば歯磨きを頑張っている子どもへの誉め言葉は一般的には、“歯磨きがんばったね、きれいな歯になってよかったね” ですよね。
しかし【Iメッセージ】では、“きれいな歯になってよかったね”の後に、“だから先生はとっても嬉しいよ” と伝えるのです。すると子ども達は、“よし自分のためにも、そして一緒に喜んでくれる人のためにも頑張ろう” という気持ちになって行くもの。このような積み重ねが子ども達との良好な関係につながっていくのです。
何とか頑張った子ども、前よりも少しでもおりこうに出来た事、前よりきれいに歯磨き出来るようになった事、ほんの少しでも進歩があれば、先生は嬉しいです!とメッセージを伝えます。
物事の比較は、理想や他人とするのではありません。以前と比較すれば良い点がたくさん見えてきます。これを伝えることが、泣いていた子どもに小さな自信をつけて行き、つらい治療も頑張って乗り越えるぞ!という大きなモチベーションにつながって行くものなのです。
私はこの小さな自信の事を、“心の貯金”と呼んでいます。さて、子ども達だけでなく我々も心の貯金を蓄えながら日々前に進んで行きたいものですね。
Dr三好(記